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【メイキング動画付き】スマホ指描きでドット絵に挑戦!コツは「線を引く」のではなく「点を置く」こと

2026.03.14
  • 鈴木 樺恋

  • 虎硬

  • 本人提供

目次
INFORMATION
イラストレーター / pixelartist
傘mica
ドット絵(pixelart)でイラストや簡易アニメーションを制作しています。80〜90年代のレトロで可愛い世界観が好きで、懐かしくも新しい表現を大切にしながら作品づくりをしています。

デジタルイラストに挑戦したい!でも、機材を揃えるにはまだ勇気が出ないかも……。

そんなあなたに提案です。もし、今持っているスマホと「あなたの指」だけで確かな画力を身につけ、プロへの第一歩を踏み出せるとしたらどうでしょうか。スマホがあればいつでもどこでもイラスト制作を楽しむことができます。

今回は、スマホの無料アプリ『dotpict』を使った指描きからスタートし、現在はipadとアプリ『Pixquare』を使用してフリーランスのイラストレーターとして活躍する傘micaさんにインタビュー。レトロポップで可愛い作風を武器に、CDジャケットやミュージックビデオのイラスト・アニメーション制作など、幅広い案件を手掛ける気鋭のクリエイターです。

傘micaさんが、一体どうやってスマホひとつで実力をつけ、プロの舞台へ駆け上がったのか。高価なタブレットなどがなくても確実に画力を上げ、自分のスタイルを確立するための「指描き上達メソッド」を余すところなくお届けします!

デジタルへの第一歩!なぜ「指描き×ドット絵」は挫折しないのか?

布団でゴロゴロが継続のコツ?

ーー傘micaさんがスマホ指描きを始めたきっかけを教えてください。

元々アナログでイラストを描いていたのですが、ドット絵を始めてみたいと思ったとき、一番身近にあった選択肢が、「スマホで指描き」でした。趣味で始めたスマホ指描きですが、おもしろさにハマってしまい、2年経った今でも指描きのイラスト制作を続けています。

高価な機材を買うと、「頑張っていい絵を描かなきゃ!」って構えちゃうじゃないですか。 スマホならそのプレッシャーがないので、ベッドやソファーでゴロゴロしながら無心で楽しく描けます。このハードルの低さが、挫折せずに指描きを続けられた一番の理由かもしれません。

線を「引く」のではなく、点を「置く」

ーー指描きはどうしても線がヨレヨレになってしまい、ペンよりも描きにくい印象を受けます。線を描くときに工夫した点はありますか?

スマホで絵を描くとき、手元が見えないのと、指の圧によっても線がブレるので、安定した線を描くのが難しいですよね。でもドット絵を描くときは、線を引くのではなく、四角いマス目に1点1点、点を置いていく感覚です。だから、普通のイラストを描くよりも、安定した線が描けるんです。

<カーソル操作でのメイキング動画>

<実際に完成したイラスト>

ーーなるほど!パズルのように置いていくから、指の震えや筆圧のコントロールが必要ないんですね。 

特にキャンパスが小さいと、線を引く必要がなくなるので、より描きやすかった記憶があります。指描きのピクセルアートを始めるなら、まずは小さいキャンパスからトライするのがオススメです。

色数が限られているから、色選びで迷わない

ーーデジタルイラスト初心者にとって、パレット内にある無数の色から配色を決めることも、難しい点だと感じます。 

配色に悩む方には、はじめから色数を絞って描く描き方がおすすめです。私が指描きで使っている『dotpict』というアプリにも「パレット機能」という特徴があります。

『dotpict』HP

選択したパレット内の色を使って作品をつくることができるので、初心者でも色選びに迷わず、感覚的に描き始められる点が魅力的でした。

『dotpict』は操作方法も直感的に理解できる点が多く、描く前の事前準備が最小限で済むので、指描き入門にとてもおすすめのアプリですね。

挫折を防ぐ!傘mica流・指描き上達メソッド

「直線ツール」でアタリをとる 

ーードット絵といえども、スマホの狭い画面で、いきなり丸や体のラインを描くのは難しそうです。何かコツはあるのでしょうか?

大きい絵を描く時はどうしても線が不安定になるので、私は「直線ツール」を使って下書きをしていました。

たとえば丸を描きたい時でも、一発で滑らかに描こうとせず、8角形や10角形のように細かくカクカクさせてアタリをとるようにしています。全体を直線で捉えてから、画面をアップにして綺麗な線を引いていくのが、バランスよく仕上げるコツですね。

<指描きでのメイキング動画>

<完成した作品>

消しゴムを使って綺麗な線に 

ーー指で描いていると、自分の指で画面が隠れて見えなくなってしまいませんか?

そこで活用しているのが、消しゴムツールです。だから、同じところに3回ぐらい線を引いて太くしてから、消しゴムで消して線を細く整える方が綺麗に仕上がります。

指だと描いていると線が見えづらいんですが、消しゴムツールだと、丸いカーソルが画面に見えるんですよ。消しゴムで余分なところを削り出すような感覚で作業すると、思い通りの線が作りやすいです。

『dotpict』では消しゴムツールにカーソルは表示されないので、『dotpict』で制作をする場合は、一つ一つ「点で置くこと」を意識すると、綺麗な線が引けますよ。

常に「全体表示」ができる機能でバランス崩壊を防ぐ 

ーースマホで細かいドットを打つ時は画面をズームすると思いますが、引いて見た時に全体のバランスが崩れたりしませんか?

それを防ぐために、『dotpict』にある「キャンバスの端に全体の絵を表示できる機能」を活用していました。この機能があれば、いちいち画面を縮小して確認しなくても、今描いている部分と全体のバランスを瞬間的に理解することができます。

クオリティを担保するという点で、『dotpict』のこの機能にはかなり助けられていますね。

イメージだけで描かず、見本を見る

ーー傘micaさんのイラストは等身のバランスや構図がとても綺麗ですが、どうやって等身や配置の練習をしたんですか?

自分がなりたい絵柄を見本にして、すぐ横に置いた状態で真似するように描いていました。私の場合は大好きな高橋留美子先生の作品をよく参考にしていました。

構図やバランスに迷った時に、すぐ横に見本があれば、見比べながら微調整できますよね。頭の中だけで描こうとせず、プロのバランス感覚をしっかり観察するのが一番上達が早いのかなと思います。

小さな「描けた!」から徐々に描く範囲を広げていく 

ーー初心者が練習を三日坊主にせず、モチベーションを保って続けるための秘訣はありますか?

やってもやっても上手くいかないと続かないので、最初は「顔だけ」とか、自分が確実に描けるところから始めると良いと思います。

私自身も、最初に顔だけのイラストを描き、次は上半身、次は全身……と徐々に制作範囲を広げながら描いていました。最初から大作に挑むのではなく、「描けた!」という小さな成功体験を重ねることで、モチベーションを落とさずに描き続けられたのだと思います。

一工夫でプロ見え!?ドット絵ならではの表現技法

フチの色を変えて「質感」や「光」を表現する 

ーードット絵で葉っぱや服の生地などの「質感」を表現するのは難しそうですが、何か意識されているポイントはありますか?

1番外側のフチの色を変えることで、質感や立体感を表現しています。たとえば、フチの色が全て黒だと、なんだか硬そうな印象を受けませんか?

そこで、外側のフチを背景色や他のパーツの色に寄せると、統一感が出て柔らかく見えるんです。立体感を出す時も、光が当たっている部分のフチだけを明るい色にしたり、葉っぱのフチは濃い緑色、髪の毛はその時々の髪の色に合わせて変えたりしています。

<葉の色が光に透けている様子が、色の濃淡によって示されている>

<全体>

カクカクの違和感はグラデーションで馴染ませる 

ーーキャンバスが小さいほど、1つのドットがズレるだけで全体の印象が大きく変わってしまいますよね。カクカクした不自然さをなくすコツはありますか?

曲線を描きたいのにドットがカクカクして違和感が出る時は、色を工夫して丸っぽく見せています。カーブしている部分のドットの色だけを少し薄くしたり、ドットとドットの間に「中間色」を置いてグラデーションのように馴染ませたりするんです。

線で滑らかに描けない分、そうやって目の錯覚を利用して違和感をなくしていくのが、ドット絵を自然に見せる大切な技術ですね。

指描きからプロイラストレーターへ、傘micaさんの系譜を辿る

1年目は「苦手」と向き合い、2年目で「絵柄」を決める

 ーー傘micaさんご自身は、スマホの指描きからスタートして、どのようにプロレベルまで上達していったのでしょうか?

最初の1年間は、とにかく上達することだけを目的に「躍動感のあるポーズ」や「複数人」「風景」など、自分が苦手だと思うものばかりをひたすら描いて克服していきました。

そして2年目になる頃に「自分の絵柄を決めよう」と思い立ち、昔から好きだった80年代・90年代のレトロポップな要素を取り入れ始めたんです。基礎を固めてから自分の好きな世界観に絞ったことが、今の作風に繋がっています。


プロになるための知識と戦略

ーーイラストレーターとして本格的にお仕事を受けるために、ご自身で意識して行動したことはありますか?

プロになるために、何が必要かを入念にリサーチしましたね。

趣味で描いていたころは、「漠然と自分の絵が売れたらいいな」と漠然とした思いだけがありました。しかし、実際にプロになるためには「ポートフォリオを作る」「ホームページを持つ」など、具体的なプロセスを着実に積み上げていく必要があると思ったんです。

叶えたい夢に対して、プロである先輩たちが発信している情報を見て、私に必要なものをピックアップしていく。そういった戦略や知識を携えて行動することが、仕事に繋げる上でとても大事だと実感しています。

現在のお仕事環境は『iPad』と『Pixquare』

ーー現在はプロとして活動されていますが、実際の案件や商業用の制作ではどのような作業環境・アプリを使われているのでしょうか?

今は仕事用にiPadとタッチペンを使っていて、アプリはピクセルアートに特化した『Pixquare』をメインで使用しています。

クライアントワークでは、保存形式も様々なものが求められます。『Pixquare』は保存や納品に必要な形式にしっかり対応していることに魅力を感じ、採用しました。機能もとても豊富で使いやすく、仕事で使う上で文句なしの環境が揃っているので重宝しています。

『Pixquare』HP

一番の夢はテレビCM!今後の展望について

 ーーこれまでCDジャケットイラストなど多岐に渡って活躍される傘micaさんですが、今後の目標について教えてください。

一番近い目標としては、グッズイラストを担当させていただくことです。

グッズイラストでは、グッズを想定した色味調整や仕上げなど、デジタルイラスト単体とは異なる工夫が求められる分野です。今関わっている分野とは別の領域にも挑戦して、自分の幅を広げていきたいです。

また、イラストレーターとして最大の夢は「自分の作品がテレビCMになること」です。その為にやるべきことは山積していますが、まずは目の前のお仕事を真摯に、積み上げていきたいと思っています。

指描きビギナーへ「まずは自分に合うソフト」を探そう

 ーーコツコツと実力と実績を積み重ねられた、傘micaさんらしい目標ですね。最後に、これから指描きを始める方へのアドバイスをお願いします!

まずはいろんなアプリを試して、自分に合ったアプリを見つけてほしいです。

ドット絵のアプリでも、アプリの見た目や機能の使いやすさから、制作に使用できる色味まで、アプリごとに多くの違いがあります。指描きにはペン描きとは違った難しさがあるので、使いやすいアプリを見つけられると、指描きもさらに楽しくなるのかなと思います。

私自身、指描きが難しいと感じた瞬間も多くありましたが、それ以上に楽しかったから、今まで創作活動を続けてこられました。私の原点でもある「指描き」は、これからも趣味として、息抜きとして、ずっと続けていく予定です。

今から指描きを始められるあなたも、ぜひ指描きの面白さを、存分に楽しんでくださいね。

鈴木 樺恋

『でみたす!』プロジェクトマネージャー・編集者。コンテンツの企画・製作を担当。画塾で絵を学んだ経験から、「描く側のニーズも満たすコンテンツづくり」を目指しています。

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